君の心の価値は薄い

 降りた俳優の主演舞台(定価8,500円)のC列のチケットが3,000円で売られている。そしておそらく主演じゃない俳優のファンの人が大量に買ったチケットで。

 

 君の心の価値は薄い。

 

 舞台のチケットの価値とは何なのか。それは運営よりも俳優よりもオタクが一番理解していると思う。オタクは冷静に舞台の内容でチケットの値段を柔軟に変えている。

 3列目までが確約されたチケットが12,000円でも、内容が明らかにつまらなさそうであれば、チケットが重複当選した場合にB列を2,000円でオタクはオタクに売るだろう。0円よりはマシだから。お金は大事だ。そして「2,000円なら観てもいいかな」という層もいる。

 

 世界は残酷だ。自分が主演の舞台で0番に立っていても、最前の誰もが0番を観ていないことなんてよくあることである。

 0番に立つ俳優は何を考えているのだろうか。客のほとんどが自分を観ていなくても、DVD発売に客が12人しか来なくとも、板の上に立ち続ける俳優の気持ちを私はきっと一生わからない。別にわかろうとも思わない。だって私たちは最初から最後まで他人なのだから。